やっと取れた海外との取引。契約も決まって、これでようやく実績になる——そう思った矢先に、振り込まれない。
「大手なんだから、そのうち払ってくれるだろう」
その油断、実は一番危ないです。
大手日系企業の海外支店でも、普通に3ヶ月遅延する
私が商社時代にタイ支店で見てきたのは、まさにこれでした。取引先は名前を出せば誰でも知っている大手日系企業の海外支店。それでも支払いは平気で3ヶ月遅れる。しかも1社2社の話ではありません。
催促しようにも、駐在員に連絡すると「現地スタッフに確認してください」と丸投げされる。現地スタッフに聞くと「経理の承認待ちです」と、のらりくらり引き延ばされる。誰も嘘をついているわけではないんです。ただ、誰も自分ごとにしていない。
これ、悪意の話じゃないんですよね。構造の話なんです。
- 駐在員は業務量が多すぎて、個別の支払い状況までは見きれない
- 現地スタッフは決裁権がなく、放置しがち
- 本社に相談しても「それは支店の問題でしょう」で終わる
誰も悪くない、でも誰も責任を取らない。大手というのは組織が大きいからこそ、支払いという一番地味な業務が、一番後回しにされやすいんです。
兆候はあったのに、「そのうち払うだろう」で見過ごした結果
ここまでは「遅延」の話です。でも本当に怖いのはここから先。
商社時代、隣の部署が取引していたタイ企業が倒産したことがありました。回収は当然できませんでした。しかも、この会社は財務状況も決して良くなく、支払い状況もあまり良好とは言えなかったんです。つまり、見ようと思えば見えていたはずのサインでした。それでも「今までは取引が続いていたから」「そのうち払うだろう」と与信を甘く見ていた結果、倒産という形で回収不能になりました。
一方で、何の前兆もなく消えたケースもある
もう一つ、忘れられない取引先があります。「あそこはいつも払ってくれるから」という理由だけで、定期的な与信見直しをせず、前の取引条件のままずっと更新し続けていた会社です。先ほどのケースとは違い、それまで支払いに問題はなく、社内でも「あそこはいつも払ってくれる取引先」という認識でした。
そんな中、ある日突然連絡が取れなくなりました。メールも電話も反応なし。前触れは何もなかったんです。心配になって、登記されている会社の所在地まで直接行ってみました。
会社として登記されている住所まで行ったにもかかわらず、そこには会社どころか建物すらありませんでした。
昨日まで普通に取引していた会社が、何の予兆もなく消える。海外取引では、これは映画の話ではありません。
怖いのは、少なくとも日々の取引の中では、異変に気づくきっかけがなかったことです。だからこそ、与信は「問題が起きたときに見直す」ものではなく、問題が起きていなくても定期的に見直すべきものなんです。
大手も、紹介も、これまでの実績も、それだけでは信用判断できない
大手だから、紹介だから、これまで問題なく払ってくれたから。こうした理由だけで取引条件を決めるのは危険です。
私自身、商社時代に支払い遅延、回収不能、そして突然連絡が取れなくなり、登記住所まで行ったら更地だった取引先まで見てきました。
WITHTHAIでは、タイ企業との新規取引を始める際の信用調査だけでなく、取引金額や相手企業の状況を踏まえて、前払い、L/C、掛売りなどの支払い条件についても実務面からご相談いただけます。
「この取引先に掛売りして大丈夫だろうか」「先方から提示された支払い条件を受けていいのか」。そう思った段階で、一度ご相談ください。

コメント