観光地の混雑や負担を軽減するため、日本でも「二重価格制度」の導入が始まっています。姫路城や沖縄のテーマパークなどで事例が見られますが、果たして外国人観光客はどう受け止めるのでしょうか。実はタイやカンボジア、海外では二重価格は当たり前の仕組みで、文化や価値観に根ざした背景があります。本記事ではタイ人観光客の視点からその実態を解説し、日本の観光地が導入する際に必要なインバウンド対策についてご紹介します。
日本で導入が始まる二重価格制度とは?
姫路城や沖縄ジャングリアなどの事例
近年、日本でも観光地で「二重価格制度」の導入が見られるようになっています。姫路城では、市民は1,000円、それ以外の観光客は2,500円という料金設定が導入されました。また、沖縄の新しいテーマパーク「ジャングリア」では、日本在住者向けは6,930円、一般は8,800円という料金差を設けています。飲食店でも外国人料金を設定する動きがあり、訪日観光が拡大する中で議論が高まっています。TrueIDの記事でもこうした事例が紹介され、オーバーツーリズムへの対策として注目されています。
導入の背景:オーバーツーリズムと観光資源保護
背景には急増する外国人観光客による混雑や文化財への負荷があります。人気観光地では、地元住民が利用しづらくなったり、インフラに過剰な負担がかかるケースが増えています。二重価格は、外国人観光客から多くの費用を徴収し、その収益を施設の維持や地域還元に使う仕組みです。日本人にとっては新しい発想かもしれませんが、持続可能な観光を実現するうえで有効な手段として議論されています。
二重価格は海外では当たり前の仕組み
タイの寺院・観光施設などの事例(無料 vs 外国人500バーツなど)
タイでは国立公園や寺院で二重価格はごく一般的です。タイの有名なエメラルド寺院ではタイ人は無料で入場できる一方、外国人は500バーツと設定されています。国立公園や観光施設でも同様の仕組みがあり、現地では違和感なく受け入れられています。Siam Paragonにある水族館も二重価格です。タイ人向けのタイ語ページではタイ価格の531バーツからで、外国人向けの英語と中国人のページは801バーツからです。
カンボジアや欧州の観光地での二重価格
カンボジアのアンコールワットでは、外国人は37ドルを支払いますが、カンボジア人は無料で入場できます。ヨーロッパでもEU市民は割引料金、非加盟国の観光客は通常料金といった形で二重価格が存在します。世界的に見ても、観光資源を守るために「地元住民と観光客で異なる料金」を設けることは珍しくありません。
仏教の「喜捨」の精神と外国人=お金持ちという認識
タイの背景には仏教の「喜捨(タンブン)」の考え方があります。お金を持つ人が持たない人に与えるのは自然という価値観が社会に根付いており、「外国人=相対的に裕福」と見なされています。そのため、外国人観光客が多めに支払うことは「文化財や自然を守るための貢献」と捉えられ、現地では不公平と感じられにくいのです。むしろ、お金持ちは払って当たり前と思われています笑
タイ人観光客は二重価格をどう受け止める?
二重価格は日常的で抵抗感が少ない
タイ人にとって二重価格は日常生活の一部であり、観光地で「タイ人料金」「外国人料金」が分かれていても違和感を持ちません。したがって、日本で導入されたとしても大きな不満を抱くケースは少ないと考えられます。
「説明不足」は不満につながる
ただし、料金差の理由がきちんと説明されない場合は「差別的だ」と感じる観光客もいます。重要なのは価格差を正しく伝えることであり、「観光地を守るため」という背景を理解してもらうことが大切です。
日本の観光地が実施すべきインバウンド対策
価格差の理由をタイ語・英語で説明する
日本の観光地が二重価格を導入する場合、まず必要なのは理由の明確化です。タイ語や英語で「維持管理や混雑緩和のため」という背景をきちんと伝えることが重要です。
公式サイトやSNSで事前に発信する
現地に到着して初めて知るのではなく、公式サイトやSNSで事前に料金体系を発信しておくことで、旅行者の理解を得やすくなります。タイではFacebookやLINEの利用率が高く、SNS発信は効果的です。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
KOLや現地メディアを通じて理解を広げる
KOL(インフルエンサー)や現地メディアを通じて「なぜ二重価格があるのか」を説明すれば、誤解を防ぎ、現地での受け入れがスムーズになります。実際に私がいた会社でのタイ市場施策でも、KOLを活用した情報発信が効果的でした。
「観光資源を守るため」という納得感を示す
単に「外国人料金」として区別するのではなく、「観光資源保護のため」「地域還元のため」と明示することで、観光客の納得感を高めることができます。これは国際的にも通じるメッセージであり、理解を得るための鍵となります。
まとめ|二重価格は不公平ではなく持続可能な観光の仕組み
世界的に一般的な制度である
日本では「二重価格=不公平」と受け止められることが多いですが、世界的に見ればごく一般的な制度です。タイの有名寺院やカンボジアのアンコールワット、さらにはヨーロッパの文化施設でも、現地住民と外国人の料金を分ける仕組みは広く存在しています。これは観光資源を守り、地域社会に還元するための合理的な方法であり、日本が持続可能な観光を実現するうえでも有効な手段といえるでしょう。
外国人の文化背景を理解することが重要
制度の是非を議論する際に忘れてはならないのが、外国人観光客の文化的背景です。外国では「持つ人が持たない人に与えるのは当然」という喜捨の精神が根付いています。そのため「外国人はお金持ちだから多めに払う」という考え方は自然であり、現地では不公平とは感じられにくいのです。日本側が自国の感覚だけで「差別的だ」と考えても、文化の違いを理解しなければ本質的な解決にはつながりません。外国人ではなく、日本人が騒いでることがとても不思議です。
説明次第でタイ人観光客は理解してくれる
タイ人観光客にとって二重価格は特別なことではありません。ただし、導入理由が説明されなければ不満を抱く可能性もあります。重要なのは「観光地を守るため」「地域に還元するため」と明確に伝えることです。タイの現地メディアであるTrueIDの記事でもこう書いています。
แม้จะมีมาตรการนี้ออกมา แต่ญี่ปุ่นก็ยังเป็นจุดหมายปลายทางที่น่าเที่ยวมากๆ อยู่เสมอ แค่เราต้องเตรียมตัวให้พร้อมมากขึ้นเท่านั้นเอง
このような制度が導入されても日本は我々にとって依然として魅力的な旅行先です。
(省略)
สุดท้ายนี้ การเปลี่ยนแปลงทั้งหมดก็เพื่ออนาคตการท่องเที่ยวที่ยั่งยืนของญี่ปุ่นนั่นเองครับ แม้จะต้องจ่ายเพิ่มขึ้นบ้าง แต่ถ้าเราวางแผนดีๆ และเข้าใจถึงเจตนาของมาตรการนี้ การเที่ยวญี่ปุ่นก็ยังคงเป็นประสบการณ์ที่ยอดเยี่ยม และคุ้มค่าอย่างแน่นอน
結局、これらの制度は日本の観光資源を守るためのものです。我々がしっかり計画を立て、これらの制度の意図を理解していれば、たとえ旅費が高くなっても日本旅行は素敵なものになります。
WITHTHAIがその橋渡しを担える
WITHTHAIでは、18年のタイ在住経験と商社勤務で培った実務力を活かし、二重価格制度の背景や意図を現地感覚で伝えるサポートを行っています。タイ語SEO記事やSNS運用、KOLを活用した情報発信により、観光地の取り組みを誤解なく伝えることが可能です。自治体や観光事業者が「タイ人にどう説明すればよいのか」と悩んだとき、WITHTHAIがその橋渡し役となります。
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