日本を訪れるタイ人観光客は、なぜこんなにもリピーターが多いのでしょうか?その答えは「安心感」「四季の体験」「人のあたたかさ」など、日本ならではの魅力にあります。本記事では、現地メディアで紹介された“タイ人が日本を好きな17の理由”をもとに、感性に寄り添った訪日インバウンド戦略のヒントを解説。タイ市場をターゲットにした集客を検討している自治体・観光事業者・宿泊施設の方に向けて、効果的なプロモーションの考え方もご紹介します。
タイ人観光客の特徴とは?訪日インバウンドで重要な市場
リピーター率が高く、感性重視の旅行スタイル
タイ人観光客は一度訪れた場所を気に入ると、繰り返し足を運ぶ傾向が強いのが特徴です。日本は「行ってよかった」「また行きたい」と感じさせる要素が豊富なため、他国と比較してリピーター率が高くなっています。日本政府観光局(JNTO)のデータでも、訪日タイ人の約60%が2回以上の来訪経験を持っており、中には5回以上訪れている人も珍しくありません。
旅行においては「どこへ行くか」だけでなく、「そこでどんな体験をするか」を重視する傾向が強く、風景・グルメ・人とのふれあいなど、五感で楽しめる旅行体験に価値を感じます。滞在中の写真や動画をSNSで発信することも前提となっており、単なる観光地巡りよりも「感性に響く体験」が旅先を選ぶ基準になっています。日本のように四季折々の美しさや丁寧な接客文化が根付く国は、タイ人にとって魅力的な存在となっているのです。
SNS映え・季節感・体験価値に敏感な傾向
タイ人旅行者はInstagramやFacebookなどのSNSを積極的に活用しており、「写真映え」や「動画映え」するスポットは大きな集客要因になります。桜・紅葉・雪景色・抹茶スイーツ・和服体験など、視覚的に美しいコンテンツが多く、四季を通じてSNSで話題にしやすい環境が整っています。
気候がほぼ一年中暑いタイに比べ、日本では春の桜や冬の雪など非日常的な体験ができるため「今しかできない」「その季節にしか味わえない」限定感が強く訴求力を持ちます。「いちご狩り+着物体験+雪景色」などを組み合わせることで、強力なSNSコンテンツとなり、旅行の目的そのものになることもあります。
インバウンド戦略では、こうした「SNSで共有したくなる風景や体験」を意識して観光素材を再編集することが、タイ人向け施策の鍵になります。
旅行の意思決定は「感情×信頼」がカギ
タイ人の旅行先選びでは「この国が好き」「この場所に行ってみたい」という感情的な好意が原動力になります。その背景には親しみやすい日本文化、丁寧で安心できるサービス、そして日本人の温かさがあります。論理的な比較よりも、信頼できる人やSNSで見かけたポジティブな体験談の影響が大きく、いわゆる「クチコミ文化」が強く働いています。
友人・家族・インフルエンサーの発信を通じて「行ってよかった」という信頼の積み重ねが、日本への好感を醸成しています。観光地側がタイ語での発信や、現地KOLとの連携を重視することは、心理的ハードルを下げて意思決定を後押しする重要な要素です。
感情に寄り添い「この旅は間違いない」と思わせること。それがタイ人観光客の心をつかむ鍵なのです。
タイ人が日本を好きな17の理由|現地メディアで紹介された本音とは?
ここでは実際にタイの現地メディアに紹介された日本の魅力について書きます。
เค้าไปญี่ปุ่นกันทำไม 17 เหตุผลที่ทำให้คนไทย ไปแล้ว ไปอีก
1. 富士山や桜、紅葉などの自然美と四季の魅力
タイにはない四季の風景は日本旅行の最大の魅力のひとつです。富士山の雄大な姿や桜が咲き誇る春、赤や黄金に染まる紅葉の季節など、どの季節にも“そのときにしか味わえない美しさ”が広がっています。タイ人観光客はこうした景観をSNSで共有する傾向が強く、「この場所に行ってみたい」という旅行動機を生み出しています。
2. 女性一人旅でも安心できる治安の良さ
日本は治安が良く夜のひとり歩きや駅の利用も安心して行える点が高く評価されています。タイ人女性にとって「ひとりでも旅ができる」「怖くない」という安心感は大きなポイントで、家族連れや女性同士の旅行でも不安が少ないことが日本人気の要因の一つとなっています。
3. 街が美しく整い、ごみ一つ落ちていない清潔感
街中のごみの少なさ、公共スペースの清潔さ、整った都市計画は、訪日タイ人にとって驚きと好感の対象です。特にタイの都市部と比較して、「どこを歩いても清潔」「トイレがきれい」といった評価は、実際の体験からくる信頼につながっています。タイは最近トイレが綺麗になりましたが、日本と比べたら汚いですからね…。
4. 日本独自の四季のある体験が楽しい
タイは一年を通して気温が高く、明確な四季は存在しません。そのため、雪遊び・紅葉狩り・桜の花見といった“季節のアクティビティ”が新鮮で、観光の目玉となっています。特に家族連れや学生グループにとっては、普段味わえない体験ができる日本の四季は魅力的です。
5. JR・地下鉄・新幹線など交通の利便性
日本国内の鉄道網は非常に発達しており、都市間移動も観光地巡りも快適に行えます。特に新幹線やSuicaなどのICカード利用に驚くタイ人観光客は多く、「日本はどこに行くにも便利」という印象を持っています。公共交通機関の信頼性と正確性も高評価につながっています。
6. 言葉が通じなくても伝わる日本人のやさしさ
言語の壁がある中でも日本人の親切心や丁寧な対応は、タイ人観光客の記憶に強く残ります。道を尋ねた際にわざわざ一緒に連れて行ってくれる、日本語が通じなくても身振り手振りで案内してくれる、という行動は、安心感や好意を抱く大きな要因です。
7. 寿司・ラーメン・コンビニ飯も絶品な日本食の魅力
タイでも日本食は人気ですが、やはり本場で味わう寿司やラーメンは格別です。さらにコンビニの弁当ですら「美味しい」「クオリティが高い」と評判です。日本各地にあるご当地グルメやB級グルメの多様性も食にこだわるタイ人観光客の心をつかんでいます。
8. 季節ごとの果物の質と味に感動
日本のフルーツは「高いけど本当に美味しい」と言われるほど質が高く、特にいちご・メロン・桃などは人気です。果物狩り体験も好評で、旅行のアクティビティとして選ばれることも増えています。旬の時期に合わせたフルーツ体験は、季節訴求と結びつく好コンテンツです。タイの高級デパートでも日本の果物が並ぶようになってきました。
9. ドラッグストア・アウトレット・古着まで買い物天国
日本はショッピングの楽しみが豊富で、ドラッグストアでのコスメ・医薬品の爆買い、ブランドアウトレットでのお得な買い物、古着店でのユニークな掘り出し物など、消費意欲を刺激する環境が整っています。“日本でしか買えないもの”があるという付加価値が重要です。
10. 寺社仏閣や古都などの伝統文化・建築の美しさ
京都や奈良など、日本の伝統建築や宗教施設は、タイ人観光客にとっては新鮮かつ敬意を持って見られる対象です。仏教が根付く文化背景が共通するため、神社仏閣への参拝や建築鑑賞に強い関心を示す人も少なくありません。
11. アニメ・J-POP・ゲームなどのポップカルチャー
日本のアニメやアイドル、ゲーム文化は、タイでも幅広い世代に人気があります。「好きなアニメの舞台を訪ねる」「推しグッズを現地で買いたい」といった目的での訪日も多く、ポップカルチャーはインバウンド集客における重要な導線となります。今は薬屋のひとりごとが大人気です(笑)
12. 原宿のコスプレ文化に憧れる若者層
原宿のストリートファッションやコスプレ文化は、個性を重視する若年層に強く響いています。タイでもコスプレイベントは多く開催されていますが、「本場の空気を味わいたい」と日本を訪れる若者も多く、日本文化の“自由さ”や“多様性”に惹かれている様子が見受けられます。
13. 温泉・茶道・祭りなどの文化体験が豊富
日本ならではの体験コンテンツも人気です。露天風呂での入浴体験、着物を着ての茶道体験、地域のお祭りへの参加など、タイでは味わえない“特別な日本文化”を体験することで、より深い旅行の満足感につながっています。
14. ビザなしで渡航可能な自由度の高さ
日本はタイ国籍保有者に対して15日間の観光ビザ免除措置を取っており、「すぐに行ける国」という心理的ハードルの低さがあります。ビザ取得の手間がないことで旅行計画が立てやすく、プロモーションの反応速度も高くなります。
15. バンコクから約5時間の近さと時差の少なさ
飛行機で約5〜6時間という距離は、タイ人にとって魅力的です。移動時間が短く、さらに日本との時差は2時間のみ。これにより時差ボケの心配もなく、短期旅行にも最適な訪問先として支持されています。
16. LCCの普及で航空券が安くなった
LCC(格安航空会社)の路線拡大により、以前よりも航空券が手軽になりました。日本路線はバンコク・チェンマイ・プーケットなどから直行便が増え、低価格で日本に行ける環境が整ったことで、若年層の個人旅行者も増加しています。
17. 時差2時間だけで体の負担が少ない
日本とタイの時差はわずか2時間で時差ボケや生活リズムの崩れが起きにくいのも魅力です。観光・グルメ・ショッピングを精力的に楽しめる滞在環境は、旅先としての快適さを後押ししています。短期間でも“充実した旅”を求めるタイ人にとっては、大きな選定要因となっています。
17の理由から考える、訪日インバウンド戦略のヒント
ポイント①:「感情に訴える」情報発信が重要
タイ人観光客の旅行先選びは、価格やスペックではなく「行きたいと思えるかどうか」、感情に訴える情報によって大きく左右されます。SNSやYouTube、口コミを通じて「楽しそう」「美しい」「心地よさそう」といった印象が先に立ち、理屈よりも感覚で選ばれる傾向が強いのが特徴です。
自治体や観光事業者は単なる観光地紹介にとどまらず、旅を通じて得られる“気持ちの動き”を伝える発信が求められます。写真1枚を投稿する際でも「桜が満開」ではなく「この瞬間に出会えた感動」といった言葉を添えることで共感を呼びやすくなります。言語は日本語や英語ではなく、タイ語での投稿が必須です。現地の文化的背景や感情の表現に合ったトーンで届けることで、ようやく心に響くコンテンツになります。
ポイント②:グルメ・買い物・文化体験が集客の鍵
日本の魅力としてタイ人に人気のあるキーワードは「グルメ」「ショッピング」「体験」の3つです。どの観光地であっても、この3要素の組み合わせを意識することで、訪問動機を強くすることができます。
地方の観光地でも「朝市での買い物」「地域食材を使った料理体験」「伝統工芸体験」などを掛け合わせることで、都市部とは異なる魅力を打ち出せます。重要なのは“日本に来たからこそできること”の演出です。抹茶・温泉・雪遊び・着物・神社でのお守り購入など、非日常で写真映えする体験はタイ人観光客に非常に刺さります。
また、同じエリアでもターゲット層(女子旅・家族・シニア・推し旅など)ごとに異なる訴求軸が必要です。「誰に向けた情報か」「どんな体験ができるのか」を明確にし、コンテンツの最適化を図ることで集客効果が高まります。
ポイント③:タイ語・SNS・KOLを活かすプロモーション設計
タイ市場向けのプロモーションでは現地語・現地発信が基本です。SNSでの訴求はFacebookとInstagramが主流であり、文字だけでなく動画や短尺リールが効果的です。日本発信の情報よりも「タイ人が紹介している」コンテンツのほうが信頼されやすく、意思決定に直結します。
そのため、KOL(インフルエンサー)との連携が大事です。現地で影響力のある人物が実際に訪問し、リアルな体験を発信することで“行ってみたい”という感情を喚起できます。近年では「ナノKOL(フォロワー1万人以下)」との協業でもエンゲージメントが高く、コストを抑えつつ高い効果を狙えます。
プロモーション全体を設計する際は、現地の文化・感性に精通したパートナーとの連携が不可欠です。翻訳ではなく“タイ人の心に響く表現”ができるかどうかが、成果を左右します。
まとめ|タイ人観光客の心をつかむには「安心感×特別体験」
タイ人が日本を繰り返し訪れるのは、安心して楽しめる環境と、他にはない“特別な体験”が共存しているからです。日本の丁寧な接客や整った街並み、四季を感じる自然や文化体験が、感性重視のタイ人旅行者の心に深く刺さります。今後のインバウンド対策ではタイ人の「感情」と「信頼」に寄り添う戦略が欠かせません。安心感を提供しつつ、“行きたくなる仕掛け”を丁寧に設計することが、継続的な集客とリピーターの獲得につながります。
ご興味のある方はぜひ、お気軽にお問い合わせください。“タイ人に伝わる言葉”で形にします。
コメント