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タイ進出で失敗する日本企業の共通点は「物流」だった

タイ進出を検討する日本企業の多くが、実は最初につまずくのが「物流」です。商品や価格、FDA登録、代理店探しには時間をかけても、タイ物流やサプライチェーン設計は後回し──その結果、コスト増や納期遅延、想定外のトラブルに直面するケースを現場で何度も見てきました。China Plus Oneが進み、ASEAN物流の重要性が高まる今、物流は単なる作業ではなく明確な戦略です。本記事では、なぜタイ進出で物流が失敗要因になるのかを実務経験をもとに解説します。

タイ進出で失敗する日本企業が最初に見落とす「物流」

タイ進出を検討する日本企業の多くが、最初に力を入れるのは「商品」「価格」「FDA登録」「現地代理店探し」です。もちろん、どれも重要な要素です。しかし、実際の現場で数多くの失敗事例を見てきた立場から言うと最初に軽視されがちで、後から大きな問題になるのが「物流」です。
Everyday Marketingの記事でも、サプライチェーンは単なる裏方ではなく、競争力そのものだと指摘されています。にもかかわらず、日本企業の多くは物流を「出荷段階の作業」「現地に任せれば何とかなるもの」と捉え、戦略的に設計していないケースが非常に多いのが現実です。

なぜ物流が後回しにされるのか

物流が後回しにされる最大の理由は「見えにくさ」にあります。物流は売上を直接生まないため、コストとして扱われがちです。また、日本国内の感覚のまま「時間通り届くのが当たり前」「品質トラブルは起きにくい」と考えてしまう企業も少なくありません。
しかしタイでは、輸送手段、通関、倉庫、ラストワンマイルまで含めて設計しなければ、納期遅延やコスト増加が頻発します。物流を後回しにすることは、結果的に顧客満足度やブランド信頼を損なう大きなリスクになります。

FDA・代理店だけ考えて失敗する構造

「FDAを取得した」「代理店が決まった」ことで安心し、その先の物流設計を詰めないまま進出するケースも典型的な失敗パターンです。実際には、輸送方法、保管条件、返品対応、在庫管理などを考えずに進めると、販売が始まってから問題が噴出します。
食品や化粧品、EC商材では、物流の設計ミスがそのまま売上機会の損失につながります。タイ進出では、FDAや代理店選定と同時に物流を事業設計の一部として考えるこが不可欠です。

ロジスティクスはコストではなく競争力である

多くの日本企業にとって物流は今もなお「できるだけ安く抑えるもの」「外注すれば済むもの」と認識されがちです。しかし、実際のタイ市場では、その考え方自体が競争力を失う原因になっています。Everyday Marketingの記事でも指摘されている通り、サプライチェーンは単なるコスト要素ではなく、企業の競争優位性を左右する重要な戦略領域です。私自身、商社時代から現在の支援業務に至るまで、物流設計の巧拙が事業の成否を分ける場面を数多く見てきました。

Logistics=Customer Experience

物流は顧客が最初から最後まで体験する「サービス品質」そのものです。納期が守られるか、商品状態は適切か、トラブル時の対応は迅速か。これらはすべて顧客満足度に直結します。タイでは輸送ルートや通関、倉庫事情によって想定外の遅延が起こることも珍しくありません。物流を軽視したまま進出すると「商品は良いのに売れない」という状況に陥りやすくなります。

Brand Promiseとの関係

ブランドが顧客に約束している価値は物流によって裏切られることも、守られることもあります。高品質・安心・スピードを掲げていても、配送トラブルが続けば信頼は簡単に崩れます。特にタイでは口コミやSNSの影響力が大きく、一度の物流ミスがブランド評価に大きく影響します。物流はブランド戦略の一部として設計すべき領域です。

Economic Forum 2025の要点

Everyday MarketingによるとEconomic Forum 2025では「Supply Chainはもはや裏方ではなく、競争力そのものだ」と強調されています。この指摘は現場感覚と一致します。物流を戦略として捉え、最初から設計できる企業だけが、タイ市場で安定した成長を実現できるのです。

China Plus Oneが進む今、タイの物流が注目される理由

近年、製造業や消費財メーカーを中心に「China Plus One」という言葉を耳にする機会が増えています。特定の国に生産や供給を依存するリスクを避けるため、中国以外にも拠点を分散させる動きが加速しているためです。Everyday Marketingの記事でも、この流れの中でサプライチェーン全体を見直す重要性が強調されています。その受け皿の一つとして注目されているのがタイです。

中国依存リスク

中国一極集中の体制は、コスト面では魅力がある一方で地政学リスクや政策変更、物流混乱の影響を受けやすいという弱点があります。実際、私が関わった企業の中にも、中国依存からの転換を検討する中で想定以上に物流が不安定になるケースがありました。中国は良くも悪くも政治影響が強い国です。China Plus Oneは単なる拠点移転ではなく、物流設計まで含めて考えなければ意味がありません。

ASEANの中でのタイの立ち位置

ASEANの中で見るとタイは地理的条件、インフラ、産業集積のバランスが良く、物流ハブとしてのポテンシャルが高い国です。陸・海・空を組み合わせた輸送が可能で、周辺国への展開もしやすい点は大きな強みです。そのため、ASEAN物流の中心としてタイを選ぶ企業も増えています。

「拠点になる国」と「勝てる国」の違い

ただし、拠点として選ばれることと事業として成功することは別です。物流を現地任せにし、全体設計を怠れば、コスト増や納期遅延といった問題が必ず表面化します。タイ進出で成果を出すには、China Plus Oneの流れを踏まえた上で物流を戦略的に設計する視点が不可欠です。

タイの物流コストはなぜ高いのか?GDPから見る現実

タイ進出を検討する企業からよく聞かれるのが、「タイの物流コストは高いのか?」という疑問です。結論から言うとタイの物流コストは構造的に高くなりやすいのが現実です。Everyday Marketingによるとタイでは物流が国家競争力に直結する課題として認識されており、その背景にはGDPに占める物流コストの高さがあります。これは個別企業の努力だけでは解決できない、国全体の物流構造の問題でもあります。

GDP比13.5%の意味

タイの物流コストは、GDP比で約13.5%とされています。これは企業が生み出した付加価値のうち、かなりの割合が物流関連費用に消えていることを意味します。私の実務経験でも、輸送費、倉庫費、通関関連コストが積み重なり、想定以上に利益を圧迫するケースは少なくありません。物流を後回しにしたまま進出すると、このコスト構造に直面して初めて問題の大きさに気づくことになります。

先進国比較

日本や欧米の先進国では、物流コストのGDP比はおおむね7〜8%程度に抑えられています。それと比べるとタイの13.5%という数字は非常に高い水準です。この差は輸送手段の偏りやインフラの使われ方、通関プロセスの複雑さなどが影響しています。日本の感覚のまま物流を設計すると想定外のコスト増につながる点は、タイ進出の注意点と言えるでしょう。

1%改善のインパクト

Everyday Marketingによると、仮にタイ全体で物流コストをGDP比1%削減できれば、数千億円規模の経済効果が生まれるとされています。これは企業単位でも同様で物流設計を見直すだけで収益構造が大きく改善する可能性があります。タイ進出では、物流コストを「仕方ないもの」と諦めるのではなく、戦略的に改善余地を探る姿勢が重要です。

Economic Forum 2025で語られたタイ物流4つの戦略

Economic Forum 2025では「物流はオペレーションではなく競争優位そのもの」という前提のもと、タイが進むべき物流戦略が示されました。Everyday Marketingによると、これは単なる効率化の話ではなく、地政学リスクやサプライチェーン分断が常態化する中で企業が生き残るための前提条件として語られています。China Plus Oneの流れが進む今、物流戦略の巧拙が企業の明暗を分ける時代に入っています。

Seamless Connectivity|ASEANハブとしての物流設計

一つ目は、陸・海・空を分断せずにつなぐシームレスな物流です。これは輸送効率の向上だけでなく、サプライチェーンが寸断された際にも機能し続ける体制を作るための国家戦略です。タイをASEANハブとして捉え、単国完結ではなく周辺国まで含めて物流を設計できる企業ほど、リスク耐性の高い事業運営が可能になります。

Smart Logistics|AI・IoT・National Single Window

二つ目はスマート物流です。Just in Time型の物流では不確実性に対応しきれなくなり、可視化と即応性が競争力を左右する時代に入っています。Everyday Marketingでも、AIやIoT、National Single Windowによるデジタル連携が、スピードと柔軟性を高める鍵だと指摘されています。これは大企業だけでなく、中小企業にとっても無視できない流れです。

Specialized Logistics|食品・化粧品・ECは別物

三つ目は業界別に最適化された物流です。食品、化粧品、ECなどは求められる物流条件が大きく異なり、従来型の一律な物流では対応できません。元記事でも産業特性に合わない物流は競争力を失う原因になるとされています。現場感覚でも、ここを誤る企業ほど失敗が早く表面化します。

Sustainable Logistics|グリーン物流は条件になり始めている

四つ目はサステナブル物流です。環境配慮はCSRではなく、今後は取引先として選ばれるかどうかの条件になりつつあります。Everyday Marketingでは、グリーン物流がブランド価値と直結すると述べられており、タイ進出においても物流戦略に環境視点を組み込むことが不可欠になっています。

SET Thailandが示す「タイ国内から見た物流の成長性」

グローバル視点だけでなく、タイ国内から見ても物流は明確な成長分野として位置づけられています。タイ証券取引所(SET)の公式メディアでも、物流業界は経済を支える重要セクターとして繰り返し取り上げられています。これは一時的なブームではなく、産業構造の変化を反映した動きです。私の実感としても、ここ数年で物流関連企業への注目度は明らかに高まっており、タイ進出を考える企業にとって無視できない要素になっています。

投資家視点

SETが物流を注目分野として扱う背景には、投資家視点での将来性があります。物流は単なる配送業ではなく、倉庫、輸送、フルフィルメント、デジタル管理まで含む総合産業です。安定した需要と成長余地が見込めるため、投資対象としても評価されています。これは物流が「コストセンター」から「価値を生む分野」へと認識が変わってきている証拠だと言えるでしょう。

E-commerce拡大

物流成長を後押ししているのがE-commerceの拡大です。タイではEC利用が急速に広がり、短納期配送や在庫管理の高度化が求められています。SETの記事でも、EC市場の成長と物流需要は密接に連動していると指摘されています。実務の現場でも、EC対応を想定しない物流設計は、早い段階で限界が見えるケースが多くなっています。

総合物流(3PL/4PL)の重要性

こうした流れの中で重要性が増しているのが、3PLや4PLといった総合物流です。輸送だけでなく、保管、在庫管理、情報連携まで含めて最適化することで、企業は本業に集中できます。タイ進出においても、物流を部分的に考えるのではなく、全体設計として捉える視点がますます重要になっています。

私が現場で見てきた「日本企業が物流でつまずく理由」

タイ進出の相談を受ける中で業種や企業規模に関係なく、共通して見えてくる「つまずき方」があります。元記事でも物流は後工程ではなく戦略の一部だと強調されていますが、実務の現場ではこの認識が抜け落ちているケースが非常に多いのが実情です。ここでは私が18年以上タイで現場を見てきた中で多い失敗パターンを整理します。

現地丸投げ

最も多いのが「現地パートナーに任せておけば大丈夫」という考え方です。倉庫や輸送、通関を一括で任せた結果、コスト構造やリードタイムを把握できていない企業は少なくありません。Everyday Marketingでも指摘されている通り、物流は競争力の源泉であり、丸投げするほどブラックボックス化します。問題が起きてからでは修正に時間もコストもかかります。タイの物流をしっかり理解しているパートナーを選ぶ必要があります。

ASEAN視点欠如

次に多いのがタイ単体で物流を完結させようとするケースです。ASEAN展開を視野に入れず、国内物流だけを最適化してしまうと、後から周辺国へ展開する際に大きな壁になります。タイはASEANハブになり得る国ですが、その前提で物流を設計しなければ、その強みを活かすことはできません。

設計不足

根本的な原因は、物流を「考える前提」にしていないことです。販売戦略や代理店選定が先行し、物流は後付けで対応する。その結果、コスト増、納期遅延、品質問題が発生します。タイ進出を成功させるには、物流を最初から戦略設計の一部として組み込む視点が不可欠です。

タイ進出を成功させるために、物流をどう考えるべきか

ここまで見てきた通り、タイ進出における物流は「後で整えればいい実務」ではありません。Everyday Marketingでも繰り返し強調されているようにサプライチェーンは競争優位そのものであり、事業戦略と切り離して考えることはできません。私自身、商社時代から現在まで多くの進出案件を見てきましたが、成功している企業ほど物流を最初から前提条件として組み込んでいます。

物流は最初に考える

タイ進出では商品や価格、代理店選定と同じぐらい「どう運ぶか」「どこに在庫を持つか」「どの国までを一つの物流圏として考えるか」を決める必要があります。物流を後回しにすると、想定外のコスト増やリードタイムの長期化が必ず発生します。物流は制約条件ではなく、事業設計の土台です。

戦略設計の一部

重要なのは物流を単体で最適化するのではなく、販売戦略・ASEAN展開・リスク分散と一体で設計することです。China Plus Oneの流れが進む今、物流を戦略として設計できない企業は、環境変化に耐えられません。タイ進出を成功させる鍵は、物流を「最初から戦略の一部」として扱うことにあります。

私はこれまでタイ在住18年・商社で13年間の海外営業経験を通じて、
・現地任せで失敗するケース
・物流設計を最初に行い、安定成長するケース
その両方を数多く見てきました。

現在は、日本の中小企業向けに
「現地実務を理解したうえでの進出戦略支援」
を行っています。

「これからタイに進出したいが不安」
「代理店や現地任せにして失敗したくない」
「ASEAN展開も見据えて設計したい」

そう感じている方は進出を決める前の段階で一度整理することが重要です。
こちらからご相談ください。

長谷川舞美|タイ貿易×海外販路×インバウンド戦略支援

タイ在住18年・大手総合商社出身。中小企業のタイ進出と訪日インバウンド支援を行うマーケター。

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