タイ人観光客の需要は2025年に入りさらに拡大し、日本への関心も大きく伸びています。Trip.comの最新データでは人気都市が大きく入れ替わり、旅行者の行動も「SNSで共有しやすい体験」へと変化しています。訪日需要が高まる一方で、タイ市場に特化した集客方法を理解している日本企業は多くありません。本記事ではタイ市場を担当してきた経験をもとに効果的なタイ人観光客集客やインバウンド対策、SNSマーケティングのポイントを解説します。
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1. 2025年、タイ人旅行者の動向が大きく変化している理由
2025年のタイ人旅行市場は、これまで以上に「多様化」と「高速化」が進んでいます。Trip.comのデータ(The Standard Wealthより要約)によるとタイ人は従来の日本・韓国・香港だけでなく、中国の重慶や成都といった地方都市にも関心を広げています。背景にはSNSを起点とした情報収集の高度化、個人旅行(FIT)の急増、そして「自然・文化・食」を重視する価値観の変化です。私自身もタイ人観光客が“写真映え”だけでなく「ストーリー性のある体験」を求めている傾向を強く感じていました。こうした行動変化を理解することが、今後のタイ人観光客集客やインバウンド対策の精度を左右します。
2. 【最新データ】タイ人が最も訪れた海外旅行先ランキング(Trip.com)
Trip.comの最新データ(The Standard Wealthによる要約)では、2025年のタイ人旅行先ランキングは次のとおりです。
【第1位:日本】
リピーター率の高さ、食文化、治安、そしてSNS映えスポットの豊富さが不動の人気を支えています。
【第2位:香港】
近距離で短期旅行に最適。買い物・グルメ・ナイトビューが安定した支持を獲得。
【第3位:中国】
特に重慶・成都といった地方都市が急伸し、多様な文化と食体験が注目されています。
【第4位:台湾】
親日で旅行しやすく、食べ歩き文化がタイ人と相性抜群です。
【第5位:マレーシア】
物価の安さと多民族文化の魅力から、20〜30代に人気が拡大中。
タイ人の旅行は「近距離×SNS映え×コスパ」を軸に進化しており、私が現地で接してきた傾向とも一致しています。
3. 中国地方都市の人気が急上昇した背景(重慶828%増・成都395%増)
2025年はTrip.comの統計(The Standard Wealthによる要約)でも分かるように、タイ人旅行者が中国地方都市へ急速にシフトした年でした。重慶と成都は大幅に数字を伸ばし、SNSでも話題化しています。背景にはタイ人旅行者の価値観が「自然・文化・食」を軸に多様化していることがあり、私がタイでKOL施策を行っていた際にも、こうした“三要素が揃う都市”の反応は非常に大きいと実感していました。
3-1. 重慶(Chongqing)|ホテル予約828%増の理由
重慶がタイ人の間で急浮上した理由は次のとおりです。
・Trip.comによると、ホテル予約が前年比828%増と突出した伸び
・四川料理がタイ人の嗜好と非常に合う(辛い料理の人気が高い)
・「洪崖洞」などSNS映えする夜景スポットが豊富
・韓国・日本より旅行コストを抑えられ、短期旅行でも満足度が高い
・都市の“非日常感”が動画・写真映えし、KOL投稿との相性が良い
3-2. 成都(Chengdu)|395%増の理由と傾向
成都の人気拡大は以下の要素が大きく影響しています。
・ホテル予約が395%増と継続的に成長
・パンダ保護区がタイで圧倒的人気(SNSでの投稿量も多い)
・自然・文化・グルメを1都市で完結できる“総合観光地”
・チベット文化や緑豊かな環境が癒しを求める旅行層とマッチ
・女性層からの支持が高く、ツアー造成もしやすい
3-3. タイ人旅行者の価値観変化(自然・文化・食)
Trip.comの分析と私の現地経験から、価値観の変化は次の通りです。
・写真映えだけでなく“旅全体のストーリー性”を重視
・自然・食体験・文化の3軸が人気の決め手に
・短期旅行でも「濃い体験」を求める傾向が強まっている
・地方都市でも魅力があれば選ばれる(立地より体験価値を重視)
実際に若いタイ人の子から、中国に旅行に行きたいと聞きます。日本よりも安いし近いからともいわれました。こうした変化は、日本の地方都市でも十分に活かせるポイントとなります。
4. Trip.comが指摘する「タイ人旅行者の行動変化」
Trip.comの最新トレンド分析(The Standard Wealthによる要約)では、タイ人旅行者の行動が大きく変化していることが示されています。旅行の目的や選び方がこの数年で大きく進化しており、日本の観光事業者にとっても戦略を見直す重要なポイントになります。
ローカル体験志向が急上昇
・名所巡りより「地元の文化・市場・食・暮らし」を重視
・職人作業やローカルカフェなど“その土地ならではの体験”が人気
・KOL投稿でもローカル体験は保存率が高く、訪問動機を生みやすい
SNSで共有しやすい旅を選ぶ傾向が強化
・旅行前の情報収集はInstagram Reels・TikTokが中心
・「写真映え・動画映え」が旅先選びの主要基準に
・Trip.comによると、重慶・成都が急伸したのもSNS映えの影響が大きい
・SNSで見た場所を“そのまま再現したい”行動が増えている
都市+自然の組み合わせ旅が人気
・都市でのグルメ・ショッピング+近郊での自然体験の流れが定番化
・複数テーマ(食・自然・文化)を短期間で楽しめることが評価されている
・日本でも「都市×地方」の組み合わせルートがタイ市場と相性が良い
こうした行動変化は日本の観光地や自治体がタイ人観光客を集客する際の重要なヒントになります。
5. 日本が依然として人気No.1である理由
Trip.comの最新データ(The Standard Wealthによる要約)では、2025年もタイ人に最も選ばれた旅行先は「日本」です。これは単なる一時的な人気ではなく、旅行者の価値観の変化と日本が持つ固有の魅力が一致しているからです。日本は“安心・美味しい・映える”の三要素が常に高評価で、訪問理由が非常に明確でした。以下では、データと実務視点の両面から人気の理由を整理します。
5-1. リピーター率78.6%(JNTO)
JNTOの統計によると訪日タイ人の 78.6%がリピーター です。これは「一度訪れると、また来たくなる国」という証拠で、旅行者の満足度が極めて高いことを示します。加えて、SNSで見た新しいスポットや季節イベントに合わせて再訪するケースも多く、何度来ても“新しい体験ができる国”として認識されています。
5-2. 日本食・スイーツ文化の強さ
タイ人にとって日本食は“特別なご褒美”の位置づけです。ラーメン・すき焼き・焼肉に加え、近年は和カフェ、抹茶スイーツ、チョコレート専門店の人気が急上昇しています。私が関わったKOL施策でも食関連の投稿は反応率が高く、予約・来店に直結しやすいジャンルでした。「美味しい体験」は旅の主目的となっています。
5-3. 安全・清潔・安心のイメージ
日本はタイ人にとって「安全でクリーンな国」というイメージが定着しています。女性旅行者や家族連れからの信頼が厚く、初めての海外旅行にも選ばれやすい点が特徴です。この安心感は他国では再現しづらく、訪日需要を底支えする最大の要因の一つです。
5-4. 円安と旅行コスト面の優位性
円安の影響で日本旅行のハードルは過去に比べ大きく下がっています。中間所得層の“手が届きやすい海外旅行”として人気が拡大しています。ホテルや飲食の価格に対する満足度も高く「費用対効果が良い国」という印象が強まっています。
5-5. SNS映えスポットの豊富さ
日本は“写真映え・動画映え”の宝庫です。桜、紅葉、雪景色、温泉街、アニメ聖地、キャラクターカフェなど、タイ人がSNSでシェアしたくなるシーンが多く存在します。Trip.comのデータでも、SNSと旅行先選びの強い相関が示されており、日本が選ばれ続ける大きな理由となっています。
6. タイ人旅行は“短期×高頻度”化へ|ホテル予約増加の背景
Trip.comの最新データ(The Standard Wealthによる要約)では、タイ人旅行者の“旅のスタイル”が明確に変化していることが示されています。特に顕著なのが「短期×高頻度」型の旅行が増えている点で、ホテル予約も前年比で大きく伸びました。この動きには以下の3つの背景があります。
FIT(個人旅行)の増加
・団体ツアーよりも、自分でカスタマイズする個人旅行が主流に
・航空券価格が安定し、週末+1日の“ショートトリップ”がしやすくなった
・自分のペースで動けるため、SNSで見たスポットを効率よく回れる
SNSに保存したスポットへ行く文化
・Instagram ReelsやTikTokで見た場所を“行く前に保存する”のが一般的
・旅の目的地が「検索」ではなく「SNSの保存フォルダ」で決まる
・保存された場所は“短期間でも行ける範囲”が好まれ、頻度が上がる
・SNSで紹介したスポットが即座に「行き先」へ転換される反応の速さを実感していました
日本のホテルの高評価
・清潔・安全・静かという基準が、タイ人の宿泊満足度と強く一致
・円安の影響で「コスパの良いホテルが多い国」という印象が定着
・Trip.comでも日本の宿泊レビューは高水準で、再訪意欲を高めている
・地方都市でも質の高いホテルが増え、短期旅行の選択肢が広がった
タイ人旅行者のライフスタイルやSNS文化が旅行頻度の増加を後押ししており、日本はそのニーズと相性の良い目的地となっています。
7. 【日本の事業者向け】2026年に取るべきインバウンド対策
2026年はTrip.comデータが示す「短期×高頻度」「SNS起点の旅行行動」がさらに加速する年です。タイ人観光客集客に成功している事業者は、例外なく“タイ市場に合わせたローカライズ施策”を実行しています。私がタイ人向けインバウンド施策を担当していた際も下記の施策は即効性・再現性ともに高く、訪日動機づくりに大きく影響しました。
7-1. Facebook / Instagram / TikTok のタイ語運用
・タイではFacebookが最も影響力のあるSNS
・Instagramは旅行前の情報収集、TikTokは旅中のリアル共有で活用
・日本語投稿は届かないため、必ず「タイ語での発信」が必須
・投稿例:写真映えスポット、季節限定メニュー、来店しやすい導線案内
7-2. タイ人KOL(インフルエンサー)活用
・KOL投稿は“予約・来訪”に直結しやすい
・Trip.comによれば「SNS投稿と旅行意欲の相関が高い」
・選定ポイント:フォロワー属性(年齢・地域)、投稿の世界観、旅行系コンテンツの適性
7-3. 写真映えする体験設計
・タイ人は「写真に残せる体験」を最重視
・フォトスポットの設置、体験型コンテンツ(茶道・スイーツ作り・浴衣体験など)が効果的
・旅行先は“写真映え+文化体験”の組み合わせがトレンド
7-4. Google Map・LINE予約導線の整備
・タイ人はGoogle Mapで店舗評価を確認し、そのまま来店
・LINEは日本以上に生活インフラ化しているため予約導線に最適
・地図情報、営業時間、英語orタイ語メニューの掲載は必須
7-5. タイ語メニュー・パンフ整備
・「読める」ことはタイ人にとって安心材料のひとつ
・日本語のみだと離脱率が上がるため、店頭やWebにタイ語表記を追加するだけで来店率が改善
・誤訳は逆効果になるため、必ずネイティブチェックが必要
7-6. 旅行前広告(Meta Ads)の最適化
・タイで広告を配信する場合、Meta(Facebook/Instagram)が最も効果的
・タイ語コピー×動画形式の広告が反応率が高い
・旅行前2〜4週間のタイミングで配信すると来訪率が向上
8. WITHTHAIが提供できるサポート
WITHTHAIでは、タイ市場に特化したインバウンド対策をワンストップで支援しています。
・タイ語SNS運用(Facebook/Instagram/TikTok)
・KOL選定・交渉・来日アテンド
・タイ語翻訳(メニュー・POP・パンフレット)
・Google Map整備・LINE導線設計
・Meta広告運用代行
・旅行会社連携・企画造成サポート
現地経験18年の視点で“タイ人に刺さる導線”を設計します。
9. まとめ|2026年はタイ人インバウンド最大のチャンス
Trip.comデータが示すとおり、タイ人旅行者は今後も日本を主要目的地として選び続けます。都市と自然、文化体験、SNS映え、そして安全性。この4点を押さえた施策を行うことで、地方都市でも十分にタイ市場を狙うことが可能です。WITHTHAIでは、自治体・観光施設・飲食店・ホテルのタイ市場戦略を長期的にサポートします。

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